LUMIX S9写真展
山内聡美「PLAYGROUND」
水谷吉法「Haru」
概要
“PLAYGROUND” / 山内聡美
今までの作品を振り返ってみると、過去に住んでいた土地に出向いて風景の中に思い出を見つけるようにシャッターを切り、個人史と普遍なノスタルジーが重なるイメージを捉えようと試みてきた。
あやふやな記憶の中の風景と改めて眼前に広がる風景を重ねて、記憶の答え合わせをしながらシャッターを切っている時間は浮遊感に満ちている。
現在は二人の幼児の子育てに追われ、浮遊感に満たされながらイメージを探す様な時間は残念なことに無い。
長男は毎日ペットボトルフリップをしている。ペットボトルを使った遊びの一つで、一定量の水が入ったペットボトルを空中に投げて回転させ、キャップか底を下にして直立させる遊びだ。YouTubeでこの遊びを知ってから我が家には水入りのペットボトルが散乱している。
長女は保育園の帰り道にある公園に毎日立ち寄る。日没が過ぎても帰ろうとしてくれないし、多少の雨でもお構い無しに絶対に立ち寄る。
一番のお気に入りは砂場。
重なって直立したペットボトルも砂場の遊具も私にとってフラストレーションの象徴なのだが敢えてこの二つを今回のメインの被写体とした。カメラを持って彼らの視座を捉えようとイメージを探していく内に不思議な浮遊感が芽生えた。私にとって生活臭のするこの風景は、彼らに
とっては曖昧でノスタルジーを伴う風景になっていく。それは同時に未来の私にとっても曖昧で甘美な記憶になり、そのイメージを求めて
また浮遊する事になるのだと気づいた。
“Haru” / 水谷吉法
春の自然
蜘蛛の糸に引っかかっている花びらや虫は
風まかせで意思なくフワフワしている
桜の木にはわずかな花と芽吹いたばかりの若葉
まだ4月というのに日差しは少しキツい
淡い花色や明るい緑色
高音が美しい鳥
目や耳はとても心地良い
小型カメラと僕
軽い足取りを弾ませて
春の自然を行く
開催期間
2024年7月10日(水)~7月28日(日)※月曜定休
営業時間:11:00~19:00
会場
LUMIX BASE TOKYO
入場料
無料
作家プロフィール
山内聡美
1985年神奈川県生まれ。
幼少期をアメリカで過ごす。
2009年よりフォトグラファーの活動開始。クライアントワークと並行して、自身の作品発表も精力的に行っている。
8歳まで暮らしたアメリカ/フロリダ州の小さな町を21年振りに訪ね撮影した写真展 this must be the place (2014) をgallery 360°にて開催。
その続編として同じくフロリダ州にあるウォルトディズニーが作った理想的なアメリカの住宅街を題材にした写真展 celebration (2015) 、パームツリーをモチーフとした南洋幻想を題材にした post palm tree (2017) at Cale galley、近年ではgoogle mapストリートビューを用いたARTIFICIAL SENTIMENT DRIVE(2022)at gallery 360° 、その続編であるWHEREABOUTS(2023)at parcel gallery を開催した。
水谷吉法 / Yoshinori Mizutani
1987年 福井県生まれ、東京都在住。
都市のさまざまな自然を主題に作品制作を行い、
2013年にJAPAN PHOTO AWARD、
2014年にFoam magazine Talent Callを受賞。
2013年、2014年に「LUMIX Meets BEYOND 2020」展に参加。
国内での個展の他、イギリス、スイス、ベルギー、イタリア、フランスなど世界各地で個展を開催。